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金を持った男との愛

遊び盛り全盛期。

クラブ、男、仕事と順調な毎日を送っていた。

しかし、勤め先が急になくなる事となり私は職を失った。

急なことだったので次の仕事も見つけていない状態だった。

退職の日、私はいつものように仕事帰りにカフェで一息ついていた。

さぁ帰ろうと外へ出た時、あの~すいません。と声をかけられた。

くるっと後ろを振り返ってみるとそれは、夜のスカウトマンだった。でも見覚えのある顔だった。

声をかけた男は私と同様驚いた顔をして、え???もしかして・・・ひさしぶり!と言った。

私も同じように答えた。彼とは5年ぶりの再会だった。学生の時、遊び半分のよるのバイト。

お水で知り合ったボーイが彼だった。彼はその時店長だった。

彼とは気さくな仕事仲間でそれ以下でもそれ以上でもなかった。

でもそんな彼とまたこんな形で会うなんてお互いの関係は以前のままらしい。

彼はお茶しよう!と私を誘った。もちろん私もうんうん、と二度返事。

たどり着いたカフェ・・・いや喫茶店という雰囲気の年季の入った場所だった。

今何をしてるのか自分の事を彼が先に話し始めた。

実は来月から新しいクラブがオープンするから女の子を探してると言う事だった。

へぇーと軽く聞いていた私に、今仕事は?と聞いてきた。

私はドキっとした。・・・仕事今日で辞めた。と伝えると彼は私にクラブで働かないかと言ってきた。

え??

そんなの絶対にムリだと即答した。

私は、もうお水の世界の女ではないしお客もない。それにクラブなんて到底ムリな話だと思った。

そんな高級なところなのだから、ニコニコ笑っているだけでは済まされない事は素人の私でもわかる。

だから、ブランクあるし絶対ムリとすぐに断った。だけどそこに彼の上司がやってきて私を見てオッケイを出した。

オッケイを出したというのは私がクラブで働いてもいいと言う事だった。

でもまさか夜の世界に入るなんて考えてもなかったので考えさせて欲しいと伝えその場を後にした。

それから何度も一緒に働こうと誘いを受けたけれど2か月間断り続けた。

2か月後私はまさかだが、高級クラブの舞台に立っていた。

慣れない世界で毎日が必死だった。

富裕層の客、接待客、プロ野球選手、芸能人、まるで別世界だった。

でもそんな毎日に少しづつ慣れてきたらコツがわかってきた。

そんな頃だった、私の事を見向きもしなかった客が本当の私を知って興味を持ったようだった。

私もまんざらじゃなかった。彼は私をランチ誘った。もちろん仕事の一環で誘いを受けた。

カフェで話していると、トークゲームが始まった。突然彼は私にこう言った。

俺はお前の彼氏でいいのか、と。今まで二人には特別な出来事も思わせぶりな態度さえなかった。

でもそのセリフで彼は私の事を手に入れたいのだとわかった。私もその時彼氏がいなかったし

この男でもいいかもしれないと思った。だから私はこう言った。私、指輪が欲しいな。

彼はじゃ、今から買いに行こうといった。  え???今から・・・。

すぐ近くのカルティエに向かった。どんなモノを私に買い与えるのか、私はどれくらいの価値の女なのか楽しみだった。

私はクラブでは口座を持たずヘルプとして働いていた。夜の仕事に深入りする気はなかった。

モチロンその間は本気で仕事するけれどここで頂点を極めたいとは思っていなかったから。

だから高価なものやブランドにとりつかれるようなことにはなりたくなかった。金銭感覚を失うのが怖かったから。

他の女の子より物欲がなかったのかも知れない。

この指輪が初めての客との買い物だった。

彼は、これいいねといって私の指にはめさせた。一面ダイヤモンドがびっしり。眩しかった。

70万円の指輪だった。 これ本当に買うの???私の為に???

目が回りそうだった私を尻目に彼は何もなかったようにそれを私にプレゼントした。

彼はこう言った。もし、別れてうまくいかなくなってもこの指輪を持っていればいい。

もし、私に何か経済トラブルが会ったとき売れば少しの足しになるから、と。

冗談で言っている様には見えなかった。その気持ちが嬉しかった。

彼とは上手くいっていた。でも、彼は私との愛が深まっていくと同時に深い悩みがあった。

それは私に嘘をついていたから。

実は彼には妻子があった。彼がバツ2なのは知っていたし、事情があって彼女とすぐに別れられないことも知っていた。

でも結婚をしている事を隠していた。マイナス要素だと思ったのだろう。

私はもし、彼女がいても妻子があっても付き合うにおいてはどっちでもいい。

どっちでもいいと言うのはそれを知った上で好きになってしまったら、私はそれを含めて好きになることが出来ると言う事。

でも、彼は嘘をついていた。ただ、私はふぅーんと思ったけど、彼は違った。

それを言った事によって肩の荷が下りたようだった。そして彼は変わった。

お金で私を制するようになった。人間はお金に弱い。お金を差し出されると本当の自分を見失ってしまう。

私もそんな風になっていた。そんな風になると彼の事を好きでなくなってもなかなか別れられなくなってしまう。

そんな自分が嫌だった。身動きが取れなくなっていた。

だから、もう彼には連絡をしないと自分に誓った。彼もそれを悟り、私たちの関係は最後のメールのやり取りで終わった。

彼との愛はたった4か月だったけれど、私の知らなかった世界を体験する事ができた事をとても感謝している。

そしてその指輪だけは今も、箱のなかで美しい姿のままでいる。

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